「楽しまれてください」「楽しまれてきてください」に違和感がある理由

コラム

「では、この後も動画を楽しまれてください」

という表現を、You tubeなどでよく聞きます。

「どうぞ、楽しまれてください」
「お花見、楽しまれてください」
「散歩を楽しまれてください」

なども同様です。

一見、丁寧に聞こえるものの、
どこか引っかかる――そんな違和感を覚える方も多いのではないでしょうか。

その違和感、どこから来ると思いますか?


依頼表現形「お〜ください」が適切

尊敬語には

「お(ご)〜ください」

という形があります。動詞の連用形を〜の部分に挟む標準的な尊敬表現です。

たとえば、

  • お楽しみください
  • ご確認ください

「依頼表現形」として、自然で整った敬語であり、適切です。

一方で

「楽しまれてください」

は 本来の型から外れている点で違和感があります。


「楽しまれる」は問題のない尊敬語

誤解のないように言い添えると
「楽しまれる」自体は、尊敬語として問題ありません。

「動画を楽しまれましたか」

このように、相手の行為を尋ねる場合は自然です。

つまり問題は、

「〜てください」と組み合わせたときの不自然さ

にあります。

「楽しまれてください」は、「楽しんでください」を丁寧にしようとした結果、

無理に「れる」を加えて、不自然になってしまったのでしょう。

同様の例を挙げると
「お先に行かれてください」
「ごゆっくり読まれてください」
「こちらで待たれてください」
も不自然です。

「お先にいらしてください」
「ごゆっくお読みください」
「こちらでお待ちください」
というべきですね。

「楽しまれてきてください」も同じく違和感あり

同じく

「楽しまれてきてください」

も不自然です。例えば接客業などで、

お客様が「これからライブに行く」と話しているような場面。

この時「楽しまれてきてください」と店員さんが送り出すのも、違和感があります。

「楽しんできてください」をさらに丁寧に言うなら

「楽しんでいらしてください」が適切です。

まとめ

・「楽しまれてください」に違和感を持つ理由は
「お〜ください」という基本の型から外れているため

・伝わりやすく自然な表現としては、「お楽しみください」を選ぶ

・「楽しまれてきてください」は「楽しんでいらしてください」と言い換える

敬語は、足せば足すほど丁寧になるわけではありません。
敬語の決まった形にあてはめることが大切です。